国民栄誉賞を辞退した歴代の人物一覧|イチローや大谷翔平の真相と理由
日本における最高峰の内閣総理大臣表彰の一つである「国民栄誉賞」。1977年に創設されて以来、国民に深い感動と希望を与えた偉大な功績者たちに贈られてきました。しかし、この極めて名誉ある国家表彰の打診を受けながらも、自らの信念や哲学に基づいて「辞退」を選んだ人物たちが存在します。
なぜ彼らは名誉ある賞を固辞したのか。メディアで語り継がれる逸話の裏には、アスリートとしての強烈な矜持や、人生観に根ざした深い理由が隠されていました。歴代辞退者たちの真相や発言の背景、そして国民栄誉賞という制度が抱える構造的な側面まで、客観的データとともに徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:国民栄誉賞を公式に辞退した人物は、福本豊氏、古関裕而氏(遺族)、イチロー氏(3度辞退)、大谷翔平選手の4名(計6回の打診)。
- 要点2:辞退の理由は「現役中のモチベーション低下懸念」「まだ成長の途上であるという自戒」「プレッシャーや生き方の自由」など極めて個人的かつ真摯な哲学に基づく。
- 要点3:政権浮揚を狙った「政治利用批判」が付きまとう賞である一方、辞退によって本人の評価が下がるデメリットはなく、むしろ世論からは高い称賛を集めている。
【一覧表】国民栄誉賞を辞退・拒否した歴代の偉人たち
国民栄誉賞の歴史において、政府から公式または非公式に打診を受けながら辞退した事例は4名・6回記録されています。まずはその全容と当時の経緯を一覧で確認します。
| 辞退者(敬称略) | 打診時期 / 政権 | 公式・本人の辞退理由 | 世論・メディアの反応 |
|---|---|---|---|
| 福本 豊 (プロ野球) | 1983年6月 中曽根康弘内閣 | 「そんな大層なものをもらったら立ち小便もできなくなる」など、身の丈に合わない重圧を避けるため。 | ユーモアを交えた庶民派としての返答として語り草になり、高い共感と親しみを生んだ。 |
| 古関 裕而 (作曲家・遺族) | 1989年8月 海部俊樹内閣 | 没後の打診に対し、遺族が「本人が元気なうちに活躍する多くの人々へ授与してほしい」と固辞。 | 音楽界への謙虚な姿勢と遺族の品格ある対応として静かに受け止められた。 |
| イチロー (プロ野球) | 2001年(小泉内閣) 2004年(小泉内閣) 2019年(安倍内閣) | 「現役のプレーヤーとしてモチベーションが低下する」「人生の幕を下ろしたときにいただけるよう励みたい」。 | ストイックな求道者としての姿勢が絶賛され、3度にわたるブレない生き方が神格化された。 |
| 大谷 翔平 (プロ野球) | 2021年11月 岸田文雄内閣 | 「まだ早い。まだ道の途中であり、これからのプレーに集中したい」と現役としての進化を優先。 | 前人未到の二刀流を極める上での謙虚さと高い志に対し、国内外から圧倒的な支持が集まった。 |

なぜ名誉を拒んだのか?歴代辞退者の真相と驚きの裏話
国民栄誉賞の打診を断る行為は、一見すると国家の好意を無下にするようにも映りかねません。しかし、辞退者一人ひとりの背景を紐解くと、そこには極めて論理的で妥当な判断が存在します。
福本豊の「立ち小便発言」に込められたプロフェッショナルの矜持
1983年、当時の通算盗塁世界記録(939盗塁)を樹立した阪急ブレーブスの福本豊氏に対し、中曽根政権から国民栄誉賞の打診が行われました。その際、福本氏が発したとされる「そんなんもろたら立ち小便もでけへんようになる」というフレーズは、昭和のスポーツ界を代表する名言として語り継がれています。
しかし、後の回顧録や特番インタビューで本人が明かした真意は、単なる下世話な冗談ではありませんでした。第1号受賞者である王貞治氏のような「国民的英雄」「品行方正な模範」として生きるプレッシャーを背負うことは、自らの泥臭いプレースタイルや野球観にそぐわないという、徹底した自己客観視の結果だったのです。「賞をもらうことで自分らしさを失い、プレーに制約がかかることを避けたかった」というプロフェッショナルとしての決断でした。
イチローが貫き通した「3度の辞退」と幕引きの美学
MLBで数々の金字塔を打ち立てたイチロー(鈴木一朗)氏は、実に3回(2001年、2004年、2019年)にわたり国民栄誉賞の打診を辞退しています。
2001年のMLB新人王・MVP獲得時、および2004年のシーズン最多安打記録(262安打)更新時の辞退理由は極めて明快でした。「現役選手として、まだ発展途上にある」「今このような栄誉をいただくと、前に進むモチベーションが鈍ってしまう」という懸念です。現役アスリートとしての緊張感を何よりも尊ぶ姿勢が表れていました。
そして2019年の現役引退時における3度目の辞退では、「人生の幕を下ろしたときにいただけるよう、これからの人生を励みたい」という代理人を通じたコメントを残しました。野球人生が終わっても、人としての歩みは続くという深い死生観と自己規律が、安易な受章を拒ませた理由です。
大谷翔平の「まだ早い」に見る求道者の視座
2021年、MLBで満票MVPを受賞し歴史的なシーズンを終えた大谷翔平選手に対し、政府は国民栄誉賞の授与を非公式に打診しました。しかし大谷選手は「まだ早いですので、今回は辞退させていただきたい」と返答し、表彰を固辞しました。
この発言の裏には、大谷選手が抱く「自らのポテンシャルはこんなものではない」という飽くなき向上心があります。事実、その後のシーズンで前人未到の50本塁打-50盗塁の達成やワールドシリーズ制覇など、伝説を塗り替え続けている軌跡を見れば、2021年時点での打診が彼にとって「通過点に過ぎなかった」ことは明白です。
古関裕而の遺族が示した謙虚な配慮
『六甲おろし』『栄冠は君に輝く』など国民的応援歌や名曲を数多く手がけた作曲家・古関裕而氏は、1989年の逝去後に授与が検討されました。しかし、遺族側は「元気に現役で活躍されている方々へ贈られるべき」として辞退を選択しました。故人の功績を誇示することなく、生きている次世代へ光を当てようとする慎み深い姿勢は、賞のあり方を静かに問いかけるエピソードとなりました。
国民栄誉賞の授与基準と「政治利用批判」の構造
国民栄誉賞を巡る議論において、避けて通れないのが「授与基準の曖昧さ」と「政権による政治利用批判」です。
1977年の総理大臣決定に基づく本賞の表彰基準は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者」と規定されています。しかし、この文言は極めて抽象的であり、客観的な数値基準や選考委員会の明確な審査プロセスが存在しません。実質的な判断は、内閣総理大臣および官房長官を中心とする時の政権に委ねられています。
そのため、内閣支持率が低下した局面や大型国政選挙の前触れとして国民的人気者を持ち出す「人気取り」「政権浮揚策」ではないかというメディアや野党からの批判が、創設初期から絶えず繰り返されてきました。打診を受ける側のトップアスリートや文化人にとっても、政治的な色彩を帯びたセレモニーに巻き込まれるリスクを警戒する心理が働くのは自然な流れと言えます。

国民栄誉賞を辞退するデメリットは存在するのか?
「国家の賞を断ることで、何らかの不利益やバッシングが生じるのではないか」という疑問を持つ読者も少なくありません。しかし結論から言えば、国民栄誉賞を辞退することによる実質的なデメリットは皆無です。
世論・ネットコミュニティの反応分析
SNSやネット掲示板における辞退への反応を検証すると、批判的な声はごく少数にとどまり、大半が以下のような肯定的な受け止め方をしています。
- 「権威に媚びず、自分自身の信念を貫く姿が一層格好いい」
- 「政治的な思惑から距離を置く賢明な判断」
- 「『まだ途上』と言い切れるプロ意識に感銘を受ける」
日本社会においては、権威を進んで受け入れる姿よりも、謙虚に辞退し精進を続ける姿勢のほうが、むしろ「潔い」「武士道精神に通じる美学」として高く評価される傾向が顕著です。
【プロの結論】同調圧力と国家表彰|心理的バウンダリーが保つ個の自立
アスリートや文化人が国家的な栄誉を辞退する現象は、社会心理学の観点からも極めて示唆に富む教訓を含んでいます。
多くの組織や集団において、人間は「与えられた権威や評価」を受け入れる同調圧力を強く受けます。外発的動機づけ(他者からの賞賛、社会的地位、メダルや賞状)に依存してしまうと、人間は知らず知らずのうちに自己の主体性を失い、他者の期待を満たすためだけに動くようになってしまいます。
しかし、イチロー氏や大谷選手のように辞退を選んだ偉人たちは、確固たる「心理的バウンダリー(自他の境界線)」を維持しています。彼らを突き動かしているのは「他者からの承認」ではなく、「自らが設定した理想にどこまで近づけるか」という内発的動機づけです。
周囲からの過度な期待や国家的な権威に対しても、自分自身の価値基準をブラさずに「ノー」と言える自立心こそが、前人未到の領域へ到達するための本質的な条件であると言えます。

【国民栄誉賞 辞退】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:国民栄誉賞を辞退した人物は正式に何人いますか?
A1:記録上、公式または政府関係者を通じて打診され辞退したことが公になっている人物は、福本豊氏、古関裕而氏(遺族)、イチロー氏、大谷翔平選手の計4名です(回数としてはイチロー氏の3回を含め計6事例)。
Q2:イチロー氏はなぜ3回も辞退したのですか?
A2:2001年と2004年の現役時代は「現役としてのモチベーションが低下することへの懸念」が主因でした。引退後の2019年は「人生の幕を下ろしたときにいただけるよう励みたい」とし、生涯を通じた生き方の評価として受け取りたいという哲学から辞退しました。
Q3:大谷翔平選手は今後、国民栄誉賞を受賞する可能性はありますか?
A3:十分に考えられます。2021年の辞退時も「まだ早い」という理由であったため、将来的に現役を引退した際や、キャリアの集大成を迎えたタイミングで改めて授与される可能性は極めて高いと見られています。
Q4:国民栄誉賞の打診を断るとペナルティはありますか?
A4:一切ありません。法的拘束力のない任意の内閣総理大臣表彰であるため、辞退による活動への制限や不利益は生じず、世論からも高い評価を受けるケースが一般的です。
Q5:打診はどのような手順で行われますか?
A5:通常、政府(内閣官房)から本人または代理人・所属球団等へ非公式に事前の意向確認(内諾伺い)が行われます。そこで本人が辞退の意思を示した場合、正式決定前の段階で取り下げられるため、公式発表に至らないケースもあります。
まとめ:権威に左右されない真の功績と生き方の美学
国民栄誉賞は日本で最も広く知られる名誉ある賞ですが、それを受け取ることだけが功績の証明ではありません。自らのプレー環境を守るためにユーモアで断った福本豊氏、人生の最後まで精進を続けるために固辞したイチロー氏、そして自らの無限の可能性を信じて「まだ早い」と言い切った大谷翔平選手。
彼らが示した辞退の理由は、単なる拒絶ではなく、自らの道に対する並外れた責任感と覚悟の表れでした。賞という形式的な枠組みを超え、自らの哲学を貫き通す生き様こそが、時代を超えて国民を魅了し続ける最大の理由です。 (出典: 国民 栄誉 賞 辞退(Yahoo!ニュース))